このマンションに住み始めて3年目になる。
割と安い方の物件だからか、学生や50代くらいの『離婚して一人暮らしはじめました』みたいな風貌の疲れたサラリーマン・OLをよく見る。
もしかしたらいずれ私もそうなるかも
だからだろうか、ものすごく居心地の良いマンションである。
ただひとつ、住み始めた頃から気になってる問題がある。
年に2回くらいのペースで“無差別インターホン鳴らし”がある。
時間は深夜の2時、3時、4時の時もある。
私の部屋、隣の部屋、同じフロアの部屋、違うフロアの部屋…とインターホンが鳴っていき、何かのタイミングでオートロックドアが開く音が聞こえる。
何者かがマンションに侵入しているのだ。
先日、犯人と思しき人物が現れたので一部始終を書いておく。
土曜の夕方6時頃、私の部屋のインターホンが鳴る。
(何かネットで買ったかな?)と思ったけど、このタイミングでは何もないし…たぶんNHKだろう、と居留守を決め込んだ。
今度は隣の部屋のインターホンが鳴る。
しかし、隣人は先ほど出かけたばかりである。
少し遠くでインターホンが鳴る。
ピンポーン
また少し遠くで鳴る。
ピンポーン
階層が変わったのか、さらに遠くで鳴る。
ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン
インターホンが鳴る間隔が次第に短くなる。
おそらく在宅の住人は気づいたんだろう。
無差別にインターホンを鳴らしているこの人物が自分に用があってインターホンを鳴らしていないという事に…。
誰も取らない。
おそらくマンションの最上フロアの全部屋を押し終わったのだろう、また少し近くからインターホンが鳴る。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、
ピンポーン
また私の部屋まできた。
怖い。誰だろう、見たい。
ベランダから外を伺ってみたけど車は無い。
24時間のサポートセンターに電話して見てもらおうか、と思ったけど、この時間は転送電話になっているはず…すぐには対応してくれないだろうと思って諦めた。
迷っている間にインターホンはすでに3周目だ。
オートロックのドアはガラスの部分が少しあって、近づかなければドアを開ける事無く外の様子が見れるから覗いてみるか…いやでも向こうからも見えるし怖いかな…と考えていたら
外から、
「もしもしぃ、まっちゃん!おれおれぇ!今どこぉ?!」という、めちゃくちゃ声のでかいおじさんが電話しているのが聞こえてきた。
『びっくりした(あまりに声がデカすぎて)
緊張してたから、なんかちょっと和むな^^』
と思ってからまた、さっきのインターホンの主をどうするか、再び考え始めた。
「
あのなぁ〜、家のナァ、鍵をナ、掛けんと部屋に置いてきたんやけどなぁ、手前のドアがな、鍵無いと入れへんのヤァ〜!そこでな、ベル鳴らしてるんやけどな、ナンベンも鳴らしてるんやけど誰も出てくれへんのヤァ〜」
お前かぁああああああああぁぁぁ
「
まっちゃん今どこ?俺んちの鍵持ってる?」
他人に持たせてんのかぁあぁあああぁ
「
だから、部屋の中においてきたんヤァ〜すぐそこやったから鍵掛けてへんのやァ〜」
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
うるせぇええぇぇぇ
誰も出るなよ!誰も出るなよ!反省させとけぇこんなやつ!夜中の3時のも絶対にこいつやからな!根気だ!諦めんなよ!気をしっかりと持てぇ!
「
まっちゃぁん、ダメだ〜。え?電話?カードのやつ?そんなの持ってる訳ないや〜ん今どこ?agsdaidsk…」(遠ざかって行く声)
まっちゃんは犠牲になったのだ…
私がこのマンションから引っ越したくなったのは言うまでもない。
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